このページでは、エクイティ(ポーカー)について詳しく解説しています。ポーカーのエクイティについて知りたい方は、以下を参照して下さい。
エクイティとは(ポーカー)
エクイティ(ポーカー)とは、プレーヤーが期待できるポットの取り分を指します。これは、現在の手札の勝率で算出されます。
例えば、ポーカートーナメントの動画では、以下のように各プレイヤーのハンドのエクイティが表示されます。
ポーカーでエクイティが重要な理由
ポーカーでエクイティが重要なのは、戦略に影響する要素であるためです。ポーカーは、確率論が大きな部分を占めるゲームです。
もちろん、確率論だけに従っていれば勝てるというわけではありませんが、確率論を無視したプレイは間違いなく負けます。それも、刹那的な速さで負けます。
数学的に計算される確率は嘘をつかず、例えば1度や2度は運に見舞われ確率の低いカードが現われることがあっても、それが続くことはありません。
ポーカーでは、1ハンド内だけでも何十回もの判断を下さなければなりません。一度判断を誤れば、大部分のスタックを危険にさらすことさえあります。
エクイティは、度重なるポーカーアクションの際に、どうすべきかを判断するための指数となり、あなたのプレイを支えてくれることでしょう。
ハンドのエクイティ
ハンドのエクイティは、ハンドの勝率とポットの取り分を示します。
例:テキサスホールデムでの2つのハンド「A♥ Q♦ vs 7♠ 8♠」のエクイティは以下のとおりです。
- A♥ Q♦ ハンドのエクイティ: 58.423%
- 7♠ 8♠ ハンドのエクイティ:41.57%
プリフロップでポットに$20あったとすると、A♥ Q♦ ハンドは $20の58.423%、すなわち$11.68がエクイティとも言えます。しかし、全ハンドの組み合わせのエクイティを記憶するのは不可能です。また、正確に記憶する必要もありません。
いくつかの肝心なハンドのエクイティを、状況ごとに大まかに覚えておくだけでも判断に役立つでしょう。KO/バウンティトーナメントでは、通常よりオールインが多く見られます。
例えばプリフロップであなたがレイズして相手がオールインした場合、フロップで相手がオールインしてきた場合のエクイティは、把握しておくと貴重な知識となります。
フォールドのエクイティ
フォールドのエクイティとは、相手がフォールドする確率に基づいて獲得できるボットの取り分を指します。
例: 7♠ 8♠のハンド 対 A♥ Q♦のハンドのエクイティ
- 7♠ 8♠ ハンドのエクイティ:64.646%
- A♥ Q♦ハンドのエクイティ:35.353%
実際には 7♠ 8♠ ハンドの方がエクイティは高いのですが、あなたがA♥ Q♦ ハンドをチェックし、相手が$10をべットしたとしましょう。(ポット$30)
ポットには$30あり、あなたがポット分をレイズして相手が70%の確率でフォールドすると考える場合、あなたのフォールドエクイティは$30の70%、すなわち$21です。
この様なシナリオは、ハイステークスのゲームやポーカー上級者によって繰り広げられます。
ハイステークスプレイヤーやポーカー上級者なら、相手のハンドレンジを読むことに長けており、役がなくてもアクションを起こしてフォールド エクイティを確保します。
ただし、例えボトムペアでもフォールドしないような相手にレイズしても、フォールドエクイティは0%です。相手がフォールドする確率はどのように知ることができるのかは、経験によるものです。
フォールドエクイティは、相手にフォールドの選択がなければ起こらないため、こちらが積極的/アグレッシブに、または戦略的に見せかけたベットを行う必要があります。
もし、フォールド エクイティを確保しようとしてレイズしたところ、読みが外れて相手がコールした場合、ターンやリバーでAもしくはQのペアとなる確率はそれぞれ13%ほどです。
アグレッシブなプレイヤーであれば、相手がKは持っていないと読むなら、ターンでも大きなベットをしてフォールド エクイティを確保しようとするでしょう。
また、相手が良いハンドを持っていないと推測できるハンドを読むスキルと、相手がフォールドする可能性が高いことを知っていなければ、フォールドエクイティを確保することはできません。
4&2のルール
「4&2のルール」とは、フロップでドローハンドとなった場合、ターンまたはリバーでドローを引く確率を簡単に計算する方法です。コミュニティカードとして開かれる残りのカードが、ターンとリバーの2枚の場合、アウツの数を4倍、リバー 1枚の場合はアウツの数を2倍にした値が、ドローハンドが完成する確率となります。
例えば、K♠ T♠ のスターティングハンドで、フロップが A♠ 7♠ 4♦だったとします。ポットには $100あり、相手が残りの$50をオールインしました。
おそらく相手は、A絡みのハンドでしょう。フラッシュが完成すれば、例え相手が2ペアであったとしても勝てます。
デッキにはスペードが9枚残っており、ターンまたはリバーでスペードが出る確率は、9×4=36%です。つまり、フラッシュが完成する確率はおよそ36%で、例え相手がAを持っているとわかっていても、36%(実際にはほぼ38%)のエクイティを持っていると分かっていれば、ほとんどのプレイヤーはコールするでしょう。
もし、ターンで 3♦ が出た場合、「4&2のルール」では残りのコミュニティカードが1枚なので、アウツを2倍します。9×2=18% となり、リバーでフラッシュが完成する確率は18%であることがわかります。
4&2のルールの正確さを比較
ポーカーをプレイ中にリアルタイムで素早く計算する方法として、4&2ルールは非常に役立ちます。以下の表は、よく遭遇するドローハンドの実際のオッズと、4&2ルールで計算するエクイティを比較したものです。
ドローハンド | ターン&リバー
(実際/4&2) |
リバー
(実際/4&2) |
---|---|---|
ポケットペアがセットになる確率(2アウツ) | 8.42%/8% | 4.35%/4% |
ガットショット(4アウツ) | 16.47%/16% | 8.7%/8% |
オープンエンドストレートドロー(8アウツ) | 31.45%/32% | 17.39%/16% |
フラッシュドロー(9アウツ) | 34.97%/36% | 17.39%/18% |
オープンエンドストレートおよびフラッシュドロー(15アウツ) | 54.12%/60% | 32.61%/30% |
この表を見れば、「4&2のルール」がかなり正確であることがわかります。
4&2ルールの注意点
4&2ルールを基に判断する際、考慮すべき注意点がいくつかあります。まず、4&2ルールは、ターンとリバーの両方のカードを確実に見ることができる場合にのみ、38%のエクイティは魅力であるということです。
例えのように、フロップで相手がオールインした場合です。しかし、相手のスタックが大きく、フロップで相手が$50をベットし、ターンでスペードが現われなかった場合、さらにターンで相手の大きなベットに直面します。
相手にコールして負ければトーナメント敗退となる、といった状況では、フロップの時点でターンでのシナリオを考慮し、慎重に行動する必要があります。
ポーカー エクイティの計算方法
ポーカー エクイティの計算方法は、残りのカード枚数をアウツの枚数で割り算します。ポットの取り分を示すエクイティの計算は、ハンドの勝率をポット額で乗算します。
例: ハンドが A♥ T♣ で、ボードが A♠ 6♠ 3♠の場合
2BBをベットすると、相手はコール。ターンで 3♦ が現われ、3BBをベットすると、相手はポット額までレイズしてきました。
相手のハンドは、フラッシュであることが考えられます。あなたのハンドがフラッシュに勝つには、リバーで3かAをヒットしてフルハウスとなる必要があります。
デッキには44枚のカードが残っており、そのうちの4枚でフルハウス完成です。
このハンドのエクイティの計算方法は、以下のようになります。:
4÷44=0.0909
エクイティは約 9.1%となりますが、これで相手のレイズにコールすることはできません。ただしこのシナリオでは、相手がブラフしていないことを見極める能力も必要です。
インターネット上には、無料で利用できるエクイティ計算機や無料アプリも多くあるので、それらを利用すると良いでしょう。
エクイティに変化を及ぼす要素
ハンドのエクイティは、対戦相手とのハンドとの類似性によって変化します。エクイティに変化を及ぼす要素を知っていれば、プリフロップでの相手のオールインにコールするか否か、などの判断材料となります。
両ハンドの共通スート
相手のハンドと同じスーツのカードを持つ場合、スーツが異なるカードの場合より、高いランクのカードを含む方への優位性が高くなります。
大きな差ではありませんが、最大2%ほどのエクイティの差が生まれます。
両ハンドの連結性
相手のハンドと連結している場合、低いランクのハンドはさらに不利なエクイティとなります。例えば、AKo に対して JTo のエクイティは 36.88%です。
しかし、AKo に対して 87o のエクイティは 37.61%と、JToより低いランクのカードにも関わらず、エクイティは高いのです。
これは、AK vs JT がストレートを完成するのに必要なアウツを互いに相手が持ち、ブロッカーとなっていることにあります。フルリングの3ハンドオールインで、ミドルカードが勝利するのを目にしたことがある人もいらっしゃるでしょう。
まさにこれは、他2人がA~Jまでの組み合わせのハンドで互いにブロックしており、アウツも少なくなっている結果、ミドルカードが勝利するといった結果を導く例です。
両ハンドの近接性
相手のハンドと近接性を持つハンドは、エクイティに影響を受けます。近接性は、常にエクイティが高い方のハンドに有利に働きます。例えば、KK を相手にした QQ のエクイティは 18.06%です。
しかし、KK を相手にした 88 のエクイティは 19.79%と、QQ ハンドよりもエクイティが高くなります。
理由は連結性と同じです。
ポケットキングとクイーンは、互いにストレートの可能性を減少させていることになります。
スーテッドハンド
スーテッドハンドのエクイティは、オフスートハンドのエクイティより、あらゆる状況においてエクイティを2~4%増加させます。
その理由は詳しく解説するまでもないでしょう。
ポーカー エクイティをプレイ戦略に生かすヒント
ポーカーでは、様々な場面でエクイティの概念をプレイ戦略に生かせます。以下に例をいくつか挙げていますので、参考にしてみて下さい。
1.バリューベット
バリューベットは、自分のハンドが相手のハンドより強いと確信している状況で、より多くのチップを相手から奪うことを目的としたベットです。
以下のような圧倒的なエクイティを持つ場合、なるべくポットを大きくする戦略を取る必要があります。
相手をフォールドさせないよう大きなベットは控えつつも、自信のなさそうなバリューベットで相手のコールを促しましょう。アグレッシブな相手には、チェックや1BB のベットも相手にレイズを促す効果的な方法です。
2.ブラフのエクイティ
例え相手がハイカードだと見据えていても、エクイティの低いハンドでブラフを行うのはリスクが大きすぎます。ブラフを行う際には、もともとが嘘なのでエクイティは無関係ですが、覚えておかねばならないのは、地味なブラフ、つじつまの合わないブラフは成功しません。
エクイティの低いハンドでは最初からブラフで勝つことを目的とし、プリフロップから良いハンドを持っているかのようなアクションと、良い役ができたことを信じさせるフロップが必要です。
または、ミンレイズでフロップが中ランクのカードが出そろい、トップペアになったといったシナリオも相手が信じ込みやすいブラフです。しかし、ブラフでのベットは相手をフォールドさせるために十分な額でなくてはならず、大きすぎるのもブラフが疑われます。
大げさすぎるベットは、多くの場合「フォールドさせようとしている」と読まれる場合があります。(それを逆手に取ることもできますが)また、ドローハンドのようなセミブラフ(特にフラッシュドロー)は、相手に読まれやすいため、相手のハンドを探りながらベットを行いましょう。
3.ブラフキャッチのエクイティ
ブラフキャッチは、ポーカースキルの中でも特に高度なスキルです。配られるハンドの強さに忠実にプレイしていては、ポーカーで利益を得ることはできません。
良いハンドが配られることは少ないため、どのプレイヤーたちにも多かれ少なかれブラフを使います。相手のベットが良いハンドによるものなのか、ブラフによるものなのかを判断するのは、ポーカープロでも難しい点です。
通常ブラフキャッチは、自分のハンドが勝っていると確信できないハンド(もっと良いハンドが考えられるボード)で相手のブラフに勝つ場合を指します。
例えば、ミドルペアを持っている時に相手のブラフを見抜いてコールしたり、ストレートやフラッシュを装うブラフを見抜き、トップペアやツーペアでコールする場合などが当てはまります。
エクイティは、ブラフキャッチを行う場合にも参考にすることができます。
相手がポットサイズのベットをし、ブラフなのではと疑う場合、コールに必要なエクイティの目安は33%です。ただし、相手が3割以上の割合でブラフしていなければ、このエクイティ目安は当てはまりません。
4.ポットオッズに対するエクイティ
ポットオッズとは、相手にコールするために必要なチップと、勝った時に得られるポット額の比率のことを指します。ポット$20の際に相手が$10をベットした場合、ポットオッズは 3:1 となります。(ポット$30に対し、コールに必要な額$10)
つまり、勝ってポットを獲得するには、ポットの1/3を支払わなければなりません。果たしてこのコール額が割に合うか合わないか、を考えるには、ポットオッズをパーセンテージに変換し、自分のハンドがどれだけのエクイティを必要とするかを把握します。
ポットオッズを%に変換する計算方法は、コールに必要な額をコールした場合のポットサイズで割ります。
$10÷$40=0.25(25%)
この場合、相手の$10をコールするには、25%以上のエクイティを持つハンドでないとコールするのは割に合わないことが分かります。
コールに必要なハンドのエクイティの目安:
相手のベット | ポットオッズ | コールに必要なエクイティ |
---|---|---|
1/2 ポット | 3:1 | 25% |
2/3 ポット | 5:2 | 29% |
3/4 ポット | 7:3 | 30% |
ポットサイズ | 2:1 | 33% |
ポットの2倍 | 3:2 | 40% |
5.Cベットで相手のエクイティを奪う
Cベット(コンティニュエーションベットの略)は、アグレッサーが使う定番の戦略です。エクイティの高いハンドは、プリフロップ、続いてフロップとCベットが頻繁に行われます。
フロップでペアとなる確率は29%なので、ほとんどのハンドはフロップでもハイカードです。例えペアとなったとしても、トップペアとは限りません。
そのため、AやK絡みのエクイティの高いスターティングハンドは、プリフロップでレイズすることで多くのプレイヤーをフォールドさせ、フロップでCベットすることで残りのプレイヤーをフォールドさせることができます。
相手がコールしても、それがドローハンドと推測するなら、ターンでさらにベットすれば(ドローが完成していないことが前提)高い確率で相手はフォールドします。
また、ミドルペアやミドルランクのコネクターでも、高いエクイティのカードを持つとみられる相手に対し、フロップによってはフォールドさせることができます。
例えば、AKを持つような相手に対し、8♥7♥ でBBからコールしたとしましょう。フロップが 8-5-2 のような場合、相手のハンドのエクイティは一変して落ちます。
ここでポットサイズのベットを行えば、本来高いエクイティであったはずのハンドをフォールドせざるを得ません。AKハンドのエクイティに頼りコールしてきても、ターンでAKが現われなければさらにCベットすればフォールドします。
ただし、相手がポケットペアを持っている可能性も考慮してください。