このページでは、ポーカーのレイズについて詳しく解説しています。
ポーカーのレイズとは
ポーカーのレイズとは、賭け金額を引き上げることを指します。各プレーヤーがレイズすることにより、賞金ポットが増額していきます。
通常、レイズでは、前回のベット額と同額か、それ以上の額を賭けることになります。ポーカー ゲームプレイにおいて、レイズは戦略的であり、レイズの仕方によって相手のハンドレンジをある程度推測することもできるでしょう。
ポーカーのレイズの基礎知識
ポーカーのレイズの基礎知識として、以下を押さえておきましょう。
ミンレイズ(ミニマムレイズ)
通称「ミンレイズ」とはミニマムレイズの略で、最小レイズのことを指します。最小レイズは、そのストリート(レベル)でのBB額です。
SBが$1でBBが$2の際は、$2がミンレイズとなり、$4にレイズするのがミンレイズです。
ミンレイズするプレイヤーのハンドは、それほど強くもないが弱くもないスターティングハンドや、フロップでミドルまたはボトムペアの場合が一般的と言えます。
もしくは、K-KやA-Aを持っていて、他のプレイヤーにコールさせる、特にアグレッシブな相手にレイズさせるための戦略としてミンレイズが行われることもあります。
オールイン
オールインは、持っているスタックの全てを賭けること。ノーリミットゲームではベット額に上限がないので、オールインが可能です。
プリフロップでは、スターティングハンドに自信がないとオールインはできないもの。中には、低いランクのポケットペアでオールインするプレイヤーもいます。
通常、ミンレイズした相手にオールインで返すと、相手がスロープレイしているのではない限りフォールドすることがほとんどです。ただ、トーナメントの終盤でのヘッズアップ勝負やショートスタックになった場合など、オールインのハンドレンジは広くなります。
リレイズ
リレイズは、他のプレイヤーのレイズに対し、さらにベット額を引き上げること。「3ベット」とも呼ばれます。
BBの強制ベットが「1ベット」、誰かがレイズすると「2ベット」、リレイズすると「3ベット」というカウントです。レイズに対しリレイズするのは、ほとんどの場合、強いハンドを持っている証拠。
プレイヤータイプにもよりますが、ハイランクのポケットペアや A-K、A-Q などが考えられます。特にミンレイズした相手には、さらに2BBや3BBを上乗せしてリレイズすると、相手はあっさりフォールドすることも少なくありません。
ただし、相手がプレミアムハンドでスロープレイしていないかを見極めましょう。
リリレイズ
リリレイズは、リレイズした相手に対しさらにレイズすること。通称「4ベット」です。BBのベットが「1ベット」、BB額に対しレイズすると「2ベット」、それをリレイズすると「3ベット」、さらにレイズすると「4ベット」です。かなり良いハンドを持っていなければ4ベットはできません。
スターティングハンドではプレミアムハンド、ポストプロップでは勝てると思っているハンドを持っていることでしょう。4ベットする本人はオールインもいとわないはずですから、4ベットにコールするにはオールインの覚悟で挑みましょう。
オープンレイズ
オープンレイズは、最初のベッティングラウンドをレイズで始めること。ポーカー中級者以上になると、BBにコールするのではなく、レイズでポットをオープンすることがほとんどです。
これは、BBにコールする(リンプと呼ぶ)だけでは、相手のハンドレンジが読めないことによります。中ランクのコネクターやスーテッドハンド、J~A絡みの手札ならどれもBBにコールすることができます。
しかし、レイズ、ましてや3BB のレイズとなれば、良いハンドでなければコールできません。だたし、良いハンドでばかりオープンレイズしていると、相手にハンドが読まれやすくなるという弱点も。
そのため、コネクターや中ランクのスーテッドなど、他のハンドレンジも時折混ぜることが必要でしょう。
チェックレイズ
チェックレイズは、ポストフロップで最初にチェックで回し、他のプレイヤーがベットするとそれにコールするのではなく、レイズで返すこと。チェックレイズは戦略的に使われます。
例えば、フロップで3人のアクティブプレイヤーがおり、プレイヤーAとBがチェックしたとします。最後のプレイヤーCは、ポットの½をベットしたとしましょう。
プレイヤーAはフォールドし、プレイヤーBはレイズ(これがチェックレイズ)しました。
この時考えられるのは、以下の点です。:
- プレイヤーBはトップペアや2ペアなどの良いハンドで、他のプレイヤーにベットを促すためにチェックする戦略
- プレイヤーCは、「チェックした二人は何の役もない」とみなし、フォールドさせるためにハイカードでベットした
- プレイヤーCは、何らかの役ができている
- プレイヤーBはハイカードでありながら、プレイヤーCがさほど良いハンドを持っていないとみなし、ブラフでレイズしてフォールドさせる戦略
このうちどのケースかを見極めて対処することが重要です。
リンプレイズ/リンプリレイズ
リンプレイズまたはリンプリレイズは、プリフロップでBBにコール(リンプと呼ぶ)し、他のプレイヤーがベットすると、それにコールするのではなくレイズで返すこと。
リンプレイズもチェックレイズと同様、戦略的に使われます。相手がリンプレイズした場合は、良いハンドなのかフォールドさせようという戦略なのかを考えましょう。
バックレイズ
バックレイズとは、ベットまたはレイズに最初はコールしたプレイヤーが、さらに他のプレイヤーによるレイズに対し、再度レイズすること。例えば、プレイヤーAがミンレイズし、プレイヤーBがコール、それに対してプレイヤーCがレイズした後、プレイヤーBがさらにレイズするとバックレイズになります。
バックレイズも戦略的に行われます。バックレイズを行うプレイヤーのハンドは、強いハンドであることは間違いないので、コールするにはそれなりの強いハンドで挑みましょう。
ポーカーのレイズの上限規定
ポーカーのレイズの回数と金額の上限規定は、ゲーム形式によって異なります。
レイズの回数上限
ノーリミットテキサスホールデムなら、レイズの回数に制限はありません。2人のプレイヤーの間で、レイズ→リレイズ→リリレイズ→リリリレイズ…などと続くこともあります。
ただし、フィックスリミットオマハのように、レイズの回数が各ベッティングラウンドで4回までと決まっているゲームもあります。
レイズの金額上限
ノーリミットゲームではレイズの金額上限はなく、持っているスタックを全てベットすることも可能です。ポットリミットオマハやリミットホールデムのように、レイズ金額に上限のあるゲームもあります。
テキサスホールデムはノーリミットが主流ですが、リミットゲームもミックスゲームの一つに組み込まれていたり、わずかながらトーナメントもあります。
ポーカーのレイズ戦略と具体例
ポーカーのレイズ戦略とその具体例について、以下にまとめていますので参考にしてみて下さい。
1.プリフロップでのレイズ戦略
プリフロップで配られたスターティングハンドをプレイすると決めたら、オープンレイズすべきです。対戦相手が多いほど勝率は下がるので、なるべく対戦相手を減らさなければなりません。
ミンレイズでは、他の多くのプレイヤーにコールされる可能性が高まるので、最低でも2BBはレイズすべきでしょう。他のプレイヤーが先にレイズしている場合、ポジションにもよりますが、ミンレイズであればBBがコールする可能性も高いため、リレイズすべきです。
多くのプレイヤーは、コネクターやスーテッドハンドでミンレイズする傾向にあります。これらをリレイズすることで、高い割合でフォールドさせることができます。
反対に、あなた自身がコネクターやスーテッドハンドでレイズし、リレイズされた場合のことも考えておきましょう。ただ、フォールドするくらいなら(オールインされた場合を除いて)、初めからフォールドしておくべきです。
もちろん、ポーカーの戦略はレイズだけではなく、ポジションや相手となるプレイヤータイプ、スタック比、そしてハンドレンジなど、様々な要素を考慮しなければなりません。
しかし、レイズというアクションにより、相手から多くの情報を得ることができます。
2.ポストフロップでのレイズ戦略
ポーカーゲームはショーダウンに達することは少なく、ハンドの大半はフロップで勝負がつくと言ってもよいでしょう。プリフロップでレイズして対戦相手を絞りこんだら、肝心なフロップが開かれます。
A/K 絡みの高ランクの組み合わせによるスターティングハンドをプリフロップでレイズするプレイヤーは、フロップで高ランクのカードがない場合、窮地に陥ります。ここがレイズの時です。
中には、A-KやA-Q、A-J などを持つプレイヤーは、フロップで役がなくてもターンやリバーに現れるのを期待してベット/コールするプレイヤーも少なくありません。
そのため、十分な額をレイズしないとコールされ、最悪の場合、ターンでAが現われるということも。また、相手に「中ランクのカードもプレイするプレイヤー」と事前に思わせておくことも大事です。
なお、コネクター/スーテッドはリスクを伴うスターティングハンドであり、これらをプレイするのは十分なスタックを持っている時にしましょう。なぜならば、コネクターがフロップでストレートになる確率は 0.39%、スーテッドがフロップでフラッシュになる可能性は0.19%しかありません。
そのため、フロップでたとえドローになったとしても、ペアを持つ相手のにベットやレイズにコールする羽目になりがちです。そのリスクに耐えられるだけのスタックを持っていないと、ショートスタックではドローハンドでコールしているうちに全てのチップを失いかねません。
ポーカーでレイズするタイミング
ポーカーでレイズを考慮する主なタイミングとしては、以下の状況が想定されます。
1.ハンドをプレイすると決めた時
プリフロップでスターティングハンドを確認し、そのカードをプレイすると決めたら、リンプするのではなくオープンレイズしましょう。上級者は必ずレイズでポットをオープンします。
これは、対戦相手を減らす役目も果たします。ただし、ポジションによってプレイするハンドレンジを吟味することをお忘れなく。
そして、自分のハンドに自信を持ってプレイしましょう。
2.相手をフォールドさせるため
レイズは相手をフォールドさせたい時に多く使われます。例えば、プロップが 5♠ 5♣ 9♦ の時、ベットするプレイヤーには以下の可能性が考えられます。
ミンレイズ~2BB のベットの場合:
- A(またはK)を持っている(ハイカード勝負なら勝てる)
- 5を持っていてスロープレイ
- 9以上のポケットペア
- 9以下のポケットペア
3BB以上の場合:
- 9を持っている
- 9以下のポケットペア
ここでレイズすることで、9以下のポケットペア、A/Kを持つプレイヤーの大半はフォールドするでしょう。
3.相手のハンドを読むため
レイズに対する相手のアクションにより、ハンドを読むことができます。上記と同じ 5♠ 5♣ 9♦ フロップの例では、相手がベットしてあなたがレイズし、それにコールする相手のハンドレンジは以下に絞られます。:
- 5を持っている
- 9以上のポケットぺアを持っている
相手が9を持っているなら、ターンに進む前にポットを獲得するため、大きくベットしてきます。5や9以上のポケットペアを持っているなら、ポットをおおきくするために大きなベットはしないでしょう。
中にはチェックで回すプレイヤーも多くいます。そのため、相手のベット額とあなたのレイズに対する反応で相手のハンドが読めます。また、リンプした相手に3BB以上のレイズをし、コールしてくる場合は良いハンドをスロープレイしていることを警戒してください。
4.ハンドが良い時
勝てると思うハンドを持っている時、ポットを大きくするためにレイズしましょう。ナッツで大きくレイズするのは相手がフォールドしてしまうのでNGですが、相手のベットに対してミンレイズするのも戦略の一つです。
特に、アグレッシブな相手には効果的です。アグレッシブなプレイヤーを相手に勝てるハンドを持っている場合、相手に主導権を握らせ、攻撃的にベットさせてコールで追いかけるという戦略もあります。
あなたのハンドがナッツの場合はそれでも良いですが、相手のハンドが発展する可能性のあるボードの場合はレイズしましょう。
ポーカーのレイズ額の目安
一般的なポーカーのレイズ額の目安としては、以下の通りです。
- ビッグブラインドの3倍 + リンププレーヤーあたり1ビッグブラインド
相手をフォールドさせたい時のレイズ戦略は、ミンレイズでは効果はありません。ミンレイズでは、多くのプレイヤーがコールします。そのため、推薦するのは3BB(BB額の3倍)以上です。
ミンレイズは良いハンドを持っている時に戦略的に利用できます。勝てるハンドなら、相手がコールすると思われる額をベットするのもコツです。
また、トップペアを持っているときは、ポットの半額やポット額をベットしても良いでしょう。しかし、プリフロップやフロップでオールインするのは、相手のハンドがプレミアムハンドでない確証がある時のみにしましょう。
ポーカーのレイズで役立つヒント
ポーカーのレイズで役立つヒントとして、以下にいくつかポイントを挙げています。
1.ブラフでのレイズは相手を選ぶ
ポーカーで勝つためには、ブラフとアグレッシブさは不可欠です。しかし、ブラフでレイズを行う時は相手を選びましょう。
ボトムペアでもフォールドしない相手にレイズしても、失敗に終わります。
2.タダで次のカードを見せない
ボードのカードと手札に何の絡みもなく、ドローハンドでもないとしても、チェックして次のカードをタダで見ようとするのは初心者のプレイ方法です。
上級者ほどレイズを多くし、リレイズを多く使います。チェックで次のカードを相手に観させるより、レイズした方がポットを獲得できます。
3.各場面で正しいレイズを行う
ハンドの強さに忠実にプレイしても、トータルで利益を得ることができません。そのシチュエーションに応じて正しいレイズを行えば、利益を得ることができます。
もはやあなたのハンドが良いか悪いかは、あまり関係ないとも言えます。
4.同じプレイ方法を続けない
ブラフでレイズをして一度目は成功しても、2度、3度と成功するとは限りません。同じ方法を使っていると、相手もあなたのブラフレイズに気付きます。
同じスターティングハンド、同じ状況でも、それぞれ異なるプレイ方法をしましょう。
5.フォールドする時を知る
相手のハンドレンジを読むためにレイズし、コールしてくる場合、相手のハンドと自分のハンドのどちらが強いかを見極めなければなりません。上級者のようにレイズを多く使っても、相手のハンドレンジが読めなければ失敗に終わります。