このページでは、ストラドル(ポーカー)について詳しく解説しています。ポーカーのストラドルについて詳しく知りたい方は、以下を参照して下さい。
ストラドル(ポーカー)とは
ポーカーのストラドルとは、カードが配られる前にプレイヤーが行う任意のベットのことを指します。ストラドルは、スモールブラインドやビッグブラインドのように「強制ベット」ではありません。
あくまでプレイヤーの意思により、ホールカード(スターティングハンド)を見る前にストラドルが行われます。通常、ストラドルはUTG(アンダーザガン=ビッグブラインドの次のプレイヤー)から行われることがほとんどです。
ストラドルを行ったプレイヤーは「ストラドラー」と呼ばれ、BB額の2倍の額をベットします。ただし、ルールで認められていれば、BB額の2倍より大きな額を賭けることも可能です。
ストラドルを戦略に取り入れるかどうかはプレーヤー次第です。
ポーカーのストラドルのメリット・デメリット
ポーカーのストラドルのメリットとデメリットには、以下が挙げられます。
メリット
ポットサイズとアクション増加の相乗効果
ストラドルは、ゲームの序盤でアクションを増やすために使われます。アクションが増えれば、必然的にポットサイズも増大します。
ストラドルを行うことでポットサイズが大きくなるため、アグレッシブなプレイヤーなら大きなポットを狙ってコールすることが多くなります。
タイトな相手を攻撃する手段となる
対戦者はハンドをプレイする場合、通常のBB額の2倍(最低でも)のストラドルベットにコールしなければなりません。タイトなプレイヤーなら、良いハンドでなければコールしないでしょう。
その性質を利用し、タイトなプレイヤーが多いテーブルではストラドルでスタックを増やすことができます。
スタックの少ない相手にプレッシャーをかけることができる
ストラドルは、スタックの少ない対戦相手に対してより効果的な戦術となります。常識的に考えると、ショートスタックとなったプレイヤーは、勝率の悪いハンドで大きな賭けに出ることを避けます。
通常は、残り少ないスタックをタブルアップするため、良いハンドで勝負に挑むもの。
ストラドルに良いとは言えないハンドでコールするショートスタックのプレイヤーがいるとすれば、ティルトに陥っているのかもしれません。このように、ショートスタックの心理を察し、ストラドルをポーカーの心理戦術として用いることができます。
ゲームでの刺激を高められる
ストラドルは、娯楽的な側面で刺激を高めることができます。友人同士でポーカーをプレイする場合は、ゲームにさらなる興奮をもたらすことができるでしょう。
また、スタックが順調に増えていてアドレナリンが大量に分泌されている時には、ストラドルで自信と攻撃的な戦闘態勢を示すことで、相手に身を引かせることもできるかもしれません。
デメリット
常にリスクを伴うアクション
ストラドルは、ホールカードを見ずに本来のBB額の倍をベットしたものの、いざカードが配られると 32o といったゴミハンドであることも。フロップで運良くミドルペアになっても、トップペアを持つ対戦相手に打ち負かされる可能性もあります。
ストラドルによって負けた場合は、通常より大きな金銭的リスクにさらされます。また、アグレッシブなプレイヤーの多いテーブルでは、よりアグレッシブなプレイにつながるでしょう。
運の要素が強まる
どんなスターティングハンドを持つかわからない時点で多くのチップを賭ける行為は、当然のごとく運の要素を高めます。ストラドルをする際、プリフロップでは最後にレイズするオプションが与えられるアドバンテージがあると言えますが、ポストフロップではアウトオブポジションになる場合が多いでしょう。
そうなると、アウトオブポジションでうまく立ち回るスキルが必要です。
消極的なプレイを促進する
ストラドラーでコールするには、通常より多くのチップを必要とします。そのため、対戦相手たちはより慎重にプレイするハンドを吟味するようになります。
結果、皆がフォールドしてしまい、得られるのはブラインドだけということも多くなるでしょう。しかし、ギャンブル性の高いゲームでは、運は毎回訪れるものではないことを知っておかねばなりません。
ブラフが通用しにくい
ストラドルで相手がコールした場合、良いハンドを持っている場合がほとんどです。ここでストラドラーがブラフでレイズしても、コールされる可能性が高いでしょう。
というのも、「ストラドルした手前、フォールドするのが惜しいのでは」と相手が考えることは普通です。結果、ブラフは大きな損失に繋がるリスクがあります。
ポストフロップでは不利になりがち
プリフロップでは最後にアクションの選択が与えられますが、ポストフロップでは通常のポジション通りのプレイとなります。そのため、UTGからのストラドルが認められていることの多いルールにおいて、ポストフロップではSBかBBがコールしない限り、アウトオブポジションでのプレイとなります。
そのことも想定してストラドルを行いましょう。
ストラドル(ポーカー)のルール
ストラドルは、コミュニティカードが使用されるポーカー、主にテキサスホールデムやオマハポーカーのキャッシュゲームでよく行われるベットです。
一般的に、トーナメントでのストラドルは許可されていません(WSOPは除く)。
ストラドルは「カードが配られる前に任意で置く3つ目のブラインドベット」です。例えば、 $1/$2 NLホールデムで手札が配られる前に、SBが $1、BBが $2 を置きますが、UTGが $4 のチップを置いた場合、この $4 が「ストラドル」にあたります。
後続のプレイヤーたちは、$4をコールするか、レイズするか、フォールドするかのいずれかを選択する必要があります。つまり、ストラドルは1ハンドにおいて、$1/$2 ノーリミットゲームから$1/$2/$4 ノーリミットへとブラインドを上げることができます。
ストラドルはレイズやベットではなく、あくまで「ブラインド」をして扱われることを覚えておきましょう。
ストラドルのやり方
この項目では、最も一般的な「UTG ストラドル/クラシック ストラドル」を例に解説します。
カードディールの前に「ストラドル」と発声する
ストラドルが可能なのは、ホールカードが配られる前のみであることに注意してください。
ストラドルが行えるのは、一般的にBBの次のポジション、「UTG」のプレイヤーです。
ライブポーカーでストラドルを行う場合は、「ストラドル」と発声してBBの2倍のチップを置きます。
単にBBの2倍のベットを置くだけでもディーラーが察し、「ストラドルしますか?」と確認してくれるでしょう。
ストラドルベットを置くと、ディーラーが「ストラドル $4」または「ライブ4」などと、他のプレイヤーに告げます。
オンラインポーカーでは、カードが配られる前に自動で「ストラドル」ボタンが表示されます。
カードディールとプリフロップ
プレイヤーたちにホールカードが配られます。
ホールカードを確認した後、UTG(ストラドラー)の次のプレイヤーからストラドル $4にコールするか、フォールドするか、もしくはレイズするかを決めます。
本来ならUTGが最初にアクションを行うポジションですが、ストラドルを行ったことにより3人目のブラインドとみなされ、最後にアクションが行える点はストラドルの大きなメリットです。
最後にアクションが回ってきたら、他のプレイヤーたちのアクションに応じて、チェック、フォールド、レイズのいずれかを選択できます。
フロップ後は通常通りプレイ
フロップ後は、すべて通常通りにゲームが進行します。
ストラドルは、ポストフロップのプレイ方法に影響を与えることはありません。
ストラドルが可能なポジションや上限のルールは、ハウス(サイトやカジノのポーカールーム)によって異なります。BB額の倍まで、または$1/$2ステークスなら$20まで、と決められていることもあれば、ノーリミットゲームのコンセプトにより、ストラドルも上限なしでオールイン・ブラインドベットできるハウスルールもあります。
ポーカーのストラドルの種類
ポーカーのストラドルには、主に次のような種類があります。
UTG(アンダー・ザ・ガン)ストラドル/クラシック ストラドル
UTGストラドルは最も一般的なストラドルです。名称の通り、通常は最初にアクションするUTGポジションのプレイヤーが、BBの2倍となるストラドルベットを置くことができます。
UTGがストラドルした場合、そのベットは3つ目のブラインドとみなされ、UTGプレイヤーはプリフロップで最後にアクションを行えます。
いわば、ストラドルのベットを置くことで最後にアクションする権利を得ることができる、とも言えます。
リストラドル
ハウスによっては、UTGがストラドルした後、UTGの左隣りのプレイヤーに限ってさらに倍のブラインドを置いて「リストラドル」できるルールもあります。
$1/$2ステークスのUTGストラドルは$4となりますが、UTGの次のプレイヤーがリストラドルを行いたい場合、$8を置く必要があります。
ダブル ストラドル
ストラドルがあった後、どのポジションからでもストラドル額の2倍のブラインドを置いて「リストラドル」を行うことができるのが「ダブル ストラドル」です。
ダブルストラドルは4つ目のブラインドとみなされ、カードが配られた後のプリフロップアクションは、ダブルストラドルを行ったプレイヤーの左のポジションから始まります。
例えば、$1/$2のステークスでUTGがストラドル(BBの2倍となる$4)を行った後、カットオフやボタンなどどのポジションからでも$8(ストラドルの2倍)のダブルストラドルが可能です。
ダブルストラドルはステークスを一気に大きくできるため、度胸のあるプレイヤー向きと言えるでしょう。
ボタンストラドル
名前の通り、ボタンのプレイヤーがストラドルベットを置くことができます。ボタンストラドルのキャップ(上限)は、2BBとされているルールが多くあるため、ハウスルールは要確認です。
ボタンは通常でも最も良いポジションですが、ボタンストラドルはブラインドポジションをさらに不利な状況に追い込むことができ、有利なゲーム運びが可能になります。
通常のプレイでは、ビッグブラインドとスモールブラインドはブラインドを置かなくてはならないものの、プリフロップでは最後にアクションを決断できます。
しかしボタンストラドルが行われた場合、プリフロップのアクションはSBからとなります。ボタンストラドルへのコールは、勝率の高いスターティングハンドでない限りフォールドする方が良いでしょう。
ミシシッピストラドル
ミシシッピ ストラドルでは、ポジションに関わらずどのポジションからでもストラドルベットをすることができます。
そのため、リストラドル、リリストラドル、リリリストラドル…といったことが起こる可能性もあります。
多くの場合、ストラドルの上限額ルールもありません。
ミシシッピ ストラドルは勝負というよりも、和気あいあいとしたライブポーカーテーブルで、お遊びラウンド的な感覚で行われることが多いと言えます。
ホールカードが配られると、最後にストラドルしたプレイヤーの左のプレイヤーからアクションを行うことが多いですが、通常のゲームのようにUTGからアクションを行うハウスルールもあります。
ミシシッピ ストラドルの場合、ディーラーにハウスルールを確認しましょう。
スリーパー ストラドル
スリーパーストラドルは、上記のストラドルとはやや異なるストラドルです。スリーパーストラドルはどのポジションからでも行えますが、ミシシッピストラドルとは大きな違いがあります。
一般的なスリーパーストラドルは、ブラインド額の2倍です。他のストラドルとは異なり、スリーパーストラドルはプリフロップで必ずしも最後にアクションを取るとは限りません。
他のポジションのプレイヤーがスリーパーストラドルにレイズ/コールした場合、スリーパーストラドルは無効になるという特殊なルールがあります。
無効になったスリーパーストラドルは、そのプレイヤーのスタックに戻されるか、通常のミニマムレイズとして扱われる点もメリットです。
例えば、9ハンドのゲームでミドルポジションがBBの2倍(2BB)のスリーパーストラドルをしたとしましょう。ホールカードが配られた後、アーリーポジションが3BBにレイズした場合、スリーパーストラドルは無効になり、プレイヤーのスタックに戻されます。
または、アーリーポジションがスリーパーストラドルの2BBにコールした場合、スリーパーストラドルは無効になるか、通常のミニマムレイズとして扱われます。(ハウスルールによる)
なお、スリーパーストラドラーに対し全員がフォールドした場合、SBとBBを獲得することができます。この特色を生かし、ライブキャッシュゲームでは、電話やトイレなど一時的にテーブルを離れる必要がある場合にスリーパーストラドルが使用されます。
他のストラドルとは本質が違うため、スリーパーストラドルを「ストラドル」とみなさないプレイヤーも多く、「スリーパーベット」と呼ばれることも少なくありません。
ストラドル(ポーカー)のタイミング
ポーカーでストラドルを使うタイミングとしては、主に以下が挙げられます。
ストラドルはギャンブル性の強い戦略のため、対戦プレーヤーのスタイルや、自分と相手のスタックサイズを常に考慮した上での状況判断が鍵となるでしょう。
1.ディープスタックの時
他者よりスタックの大きいディープスタックを持つ状況では、ショートスタックに対して様々な方法でプレッシャーをかけることができます。ストラドルもその一つで、ブラインド増加分がスタック全体を占める割合が小さいため、無理なく利用できます。
2.タイトなプレイヤーが多い時
テーブルのメンバーがタイトで慎重なプレイヤーが多い場合、ストラドルにコールするプレイヤーは少なくなります。また、仮にコールされても、良いハンドでプレイする傾向のあるタイトプレイヤーは、ハンドレンジが読みやすく恰好の対戦者となるでしょう。
3.相手があなたにアグレッシブなイメージを持っている場合
相手があなたをルースアグレッシブなプレイヤーだと判断している場合、対戦相手はあなたを警戒します。また、ストラドルにコールされても「ブラフだろう」と思わせることができ、ミスを誘発できる可能性があります。
ストラドルがポーカー ゲームプレイに及ぼす影響
ストラドルの概念は、やり方が分かればすぐに実践することができます。しかし、ストラドルを行うべきかどうかは全く別の話です。
チップを暗闇の中で賭けるようなストラドルは非常にアグレッシブなプレイ方法であり、EV(期待値)の概念を無視した戦術です。
ホールカードを確認してハンドが良くなければ、フォールドしてチップを失うことはありません。とはいえ、カードを確認する前にチップを賭けるストラドルでは、その後どんなホールカードが配られるかは想像できません。
10ハンドの中で、良いハンドが配られる回数を考えれば、ストラドルがリスクのある戦術であることは明らかでしょう。さらに、ストラドルにコールするプレイヤーは高い勝率を持つスターティングハンドを持っています。
運よく良いハンドが配られれば大きなポットを懸けた対決になりますが、そうでなければ不利な戦いとなりがちです。ゆえに、ストラドルは非常にアグレッシブなプレイヤーからは指示されています。
ゲームの興奮を高め、アドレナリン大放出となる手段であることは間違いありません。一方、保守的なプレイヤーは、ストラドルすることもされることも好みません。
それは、ストラドルがポーカーをスキルゲームではなく、運任せのくじ引き要素の強いゲームにしてしまうという理由にあります。
ポーカーのストラドル 戦略
以下に、ポーカーのストラドル 戦略として、押さえておくべきポイントをいくつか挙げていますので参考にして下さい。
- ストラドルは毎回行わない:ブラインドは根本的に分の悪いルールです。毎回運に見舞われることはありません。
- 最後にアクションできるメリットを無駄にしない:ストラドルは最初にアクションしなければならないUTGの局面から抜け出すための方法となります。このメリットを十分に活用した戦術を追加しましょう。
- ルースなプレイヤーの攻撃手段:広いハンドレンジをプレイするルースプレイヤーには、ストラドルは効果的です。強いハンドを持っていることは稀であり、アグレッシブに攻めましょう。
- タイトなプレイヤーへのプレッシャー:タイトなプレイヤーはギャンブル的プレイはしません。コールする際にはそれなりのハンドを持っています。フロップでプレッシャーをかければ、役のない場合はフォールドすることがほとんどです。
- ショートスタックへのプレッシャー:ショートスタックのプレイヤーはハンドを慎重に選び、ストラドルにコールしてもフロップで役がなければフォールドするでしょう。
- 予測不可能な要素の一つとして使う:ストラドルは、対戦相手に「予測不可能」なプレイヤーと思わせる手段の一つとして使えます。
- ディープスタックの時に行う:ショートスタックでストラドルを行うのは自殺行為です。ポットが大きくなっても戦えるスタックを持って行いましょう。
ポーカーでは、「運に任せたプレイをしない」というのが基本戦術の一つです。ホールカードさえ見ていない状況で行うストラドルはベットの根拠となるものがなく、基本戦術に背いた方法と言えます。
そのためストラドルは、習得すべきスキルとしてはみられていません。ゲームのステークスを上げたいのであれば、1つ高いステークスのテーブルに移動すればよいだけであって、カードを見ずにベットをする必要がないからです。
それでも、ポーカー上級者にはストラドルを使うプレイヤーもいます。反対に、ストラドルを頻繁に行うプレイヤーには、良いハンドで立ち向かうのみです。
ただし、相手はかなりアグレッシブなプレイヤーなので、ブラフか本当に良いハンドを持っているかを見抜けないと、多くのチップを危険にさらすことになります。
それでも、ストラドルを頻繁に行うプレイヤーに対し、他のプレイヤーは数学的な優位性を持っています。ストラドルを行う際には、ストラドルのデメリットを補える他のスキルを持っていること、ストラドルに対処するには良いハンドが配られ、チャンスが訪れるのを待ちましょう。